畳の種類と構造
畳表の種類
畳表は、収穫した原草を何種類もの長さに分けて抜き分けて畳表に織り上げます。それによってさまざまな種類の畳表ができます。
一枚の畳表には約4,000本から7,000本のいぐさが使用されます。
良いいぐさとは、茎に変色や病気・傷などがなく、根元から先端まで充実し、1本1本の太さや色が揃っているものです。
畳の構造
畳は、畳床・畳表・畳縁の3つの部分から構成されます。
畳は、表面に見える畳表と芯の部分に当たる畳床を重ねたものに、畳縁を縫い付けて出来上がります。
1.畳表
畳表は、主原料のイ草を横糸に、麻糸を縦糸として織られたものであり、イ草の種類によっていくつかの等級に分けられます。最近ではわらやイ草の代わりに化学製品やパルプを用いたものも商品化されています。
2.畳縁
畳縁は、畳表と畳床を包むことによって畳を保護し、織り込まれた美しい色柄は部屋を引き立たせます。畳縁(タタミヘリ)は化学繊維、綿、麻、絹などの素材でできています。無地のものと柄を織り込んだものの2タイプがあり、畳縁によって部屋の雰囲気がガラッと変わります。
3.畳床
普段は見えない畳床。使用する用途、建物の条件にあった素材を選択することが大切です。
1.稲わら畳床
昔ながらの天然素材で、わらを何層にも重ね合わせて作られています。感触がよく、表替えを繰り返しても丈夫で、天然素材であるため室内の湿度を調節する調湿機能は他の床材に比べて最も優れています。また、吸音効果、防音効果を備えています。
2 .稲わらサンドイッチ畳床
稲わらの間にポリスチレンフォーム・インシュレーションボード等を挟んで作られています。稲わら畳床の特色を持ちながら軽量で、保湿性に優れています。稲わら畳床に比べて軽く、ダニが寄生しにくいのが特徴です。感触は稲わら畳床によく似ています。
3.建材畳床
稲わらを一切使用しないで、ポリスチレンフォームや細かいチップを圧縮したインシュレーションボードを組み合わせたもの。軽量で低コスト、断熱性に優れて軽く、水を吸収しない、ダニが寄生しにくいなどの特徴があります。床材がコンクリートの場合、保温性・断熱性に優れた建材床を使用することで、コンクリートへ伝わる熱エネルギーロスを少なくできます。
畳の性能
曲げ強さ
畳は、その構成材料や畳床の厚さによって曲げ強さが変わります。硬さや剛性、或いは弾力性など、畳に要求される基本的な性能として捉えられます。すなわち、畳の丈夫さ(強さ)を意味しています。
硬さ
畳には、ある程度の弾カ性と柔軟性のある硬さが必要なのです。例えば、畳の上で転んで頭や身体を打ち付けた場合でも衝撃を吸収する柔軟性があるのです。
圧縮強さ
畳は、長年にわたる使用にも耐える性能でなければなりません。人の歩行によって繰り返し踏みつけられたり、家具などによって長期間押さえつけられもしま す。厚さ40cmにも重ねた稲わらをわずか5cmまで圧縮することによって生じる復元力が、稲わら畳床の弾力と耐久を生みます
吸放湿性
稲わらや、イ草(畳表)は自然の資材です。素材の特性から僅かながら湿気を吸収し、また放湿する性質があります。
しかし吸湿する速度に比べ放湿する速度は遅く、蓄湿する傾向があります。従って、放湿効果を上げるためにはこまめな換気が望まれるのです。
断熱放湿性
稲わらには熱を伝えにくい特徴があります。稲わらの空洞がその高い断熱性の秘密です。また、一度温かい状態になると熱を逃がさない保温の役目をします。
寸法安定性
畳は、敷きこんだ後に若干の寸法変化が起こることがあります。それは畳床の膨張や収縮によって起こることが考えられますが、極端な吸放湿がない限り、隙問が空いたり畳が持ち上がったりということはまずないといえます。
床衝撃音遮断性
稲わらの沢山の空洞に含まれる空気が、音を吸い込む吸音効果を持ちます。また、一般に遮音性は重量に比例すると言われますが、稲わら畳床の重量感がここでは 長所になります。畳の種類にもよりますが、例えばコンクリートの床に敷いた場合の「衝撃音」はかなり改善されることが分かっています。